この名前を耳にしたのはクラシコイタリアで雑誌が盛り上がっていた時期だったろうか、胸から裾にかけて大きなダーツを入れた上着があると先生に見せに行ったら”キトン”でもなく”アットリーニ”でもなく出てきた名前が『アンジェロ・リトリコ』だった。その昔、来日して全国で講習会を行った事もあったらしい。
”アンジェロ・リトリコ”
MEN’S Precious 2020年秋号の114ページにアンジェロ・リトリコのスーツが掲載されている…まさか10年近く経って実物写真を見る事になるとは思ってもなく、これがあのリトリコのスーツなのかと感動したというか、言葉には出来ない複雑な気持ちになったのが本心だったりする。
掲載されているスーツの特徴を説明すると、①胸から裾までしっかり入っている大きなダーツ。②味のあるハンドステッチ。③先の上がった胸の箱ポケット。これらの特徴からしてこの服を見たらほとんどの人がナポリのスーツと答えてしまうと思う。アンジェロ・リトリコはローマのテーラーだけれども…
”リトリコが先にあった”
自分はナポリ仕立ての元になっているのがアンジェロ・リトリコの服なのではないかと思っている。講習会があった時、年配のテーラーにナポリ仕立ての服を見てもらうと『若い時に見たリトリコの服がこんな感じだったな。』と言う人が結構いる。少なくとも日本に来たのはリトリコの方が先で、その後イタリアでリトリコに影響を受けたアットリーニ等の服が日本へ来たのではないかと言うのが私の考えだったりします。